自分の特性に合わせた配慮があるから、長く働ける障害者雇用。
とは言え、「障害者雇用は給料が安い」という噂もありますよね。
この記事を読んでいる人は、
- 障害者雇用って給料安い?生活できない?
- 給料を上げるには、どうすればいい?
という疑問や不安がありませんか?
障害者雇用で自立したい人にとっては、「長く働くこと」も「生活できる給料」も両方大切。
そこで、この記事では
- 障害者雇用の給料はどのくらいか
- 障害者雇用でも生活できる仕事を探すコツ
- 障害があっても収入を増やすコツ
を発達障害当事者のjunが解説します。
ADHD・高機能自閉症を抱える50歳の主婦です。現在は、障害枠の事務職にて約5年間、継続して働けています。
発達障害の子供もおり、自身の障害や子育て経験をもとに、同じく障害を持つ人に役立つ記事をかければと思っています。
障害者雇用の給料や手取り平均はいくら?
平成30年の障害者白書によると、障害者雇用の平均月収は14万6千円。
非正規雇用が多い障害者雇用の平均年収は、200万円以下の人も少なくありません。
日本の平均年収は461万円なので、障害者雇用の年収は、その半分以下になりますね。
障害区分別の給料の平均額は、次の通りです。
障害区分 | 平均月収 |
---|---|
身体障害者 | 21万5千円 |
知的障害者 | 11万7千円 |
精神障害者 | 12万5千円 |
発達障害者 | 12万7千円 |
障害者雇用の給料が低い理由は?
障害者雇用の給料が安い理由は、非正規雇用で単純作業が多いことが考えられます。
さらに精神・発達障害者は、勤続年数が短いことも給料の安さに影響していますよ。
- 雇用形態が正社員じゃない
- 簡単な仕事が多い
- 勤続年数が短い
雇用形態が正社員じゃない
正社員と非正規雇用で年収に差があるのは、障害者雇用でも同じです。
さらに、障害者雇用の勤務形態は、まだまだ非正規雇用が中心。
障害者雇用のハローワーク全求人のうち、
正社員の求人は、わずか約17%。
障害者雇用の給料が安いのは、正社員の求人が少ないことも大きな原因です。
障害区分別のフルタイムで働く人の割合は、次の通りです。
障害区分 | フルタイム勤務の割合 |
---|---|
身体障害者 | 79.8% |
知的障害者 | 65.5% |
精神障害者 | 47.2% |
発達障害者 | 59.8% |
簡単な仕事が多い
障害者雇用の求人で多い職種は、清掃、軽作業、事務補助など。
障害者雇用は、全体の7割近くが補助的な仕事で、給料が高い仕事が多い専門職の求人は少数派。
ハローワーク障害者求人 職種別割合
職種 | 全求人に占める割合 |
---|---|
事務・事務補助 | 35% |
清掃 | 13% |
その他軽作業 | 12% |
調理補助 | 8% |
補助的な職種の合計 | 68.4% |
参考:ハローワーク障害者求人 2021年12月23日現在 勤務地:東京都
勤続年数が短い
障害者雇用で配慮を求めても、精神・発達障害の人が職場に定着するのは、簡単ではありません。
障害者雇用の中でも、精神・発達障害者の給料が安いのは、勤続年数の短さも理由の一つです。
障害区分別の平均勤続年数は次の通りです。
障害区分 | 平均勤続年数 |
---|---|
身体障害者 | 10年2ヵ月 |
知的障害者 | 7年5ヵ月 |
精神障害者 | 3年2ヵ月 |
発達障害者 | 3年4ヵ月 |
長く働けば昇給のチャンスも増えるので、その分給料が高くなるんです。
中小企業で働く人の割合が高い
一般的に、企業規模が大きくなれば、利益を上げやすいと言われます。
中小企業と比べて、大企業の給料が高い傾向があるのは、障害者雇用でも変わりません。
特に精神・発達障害の人は、中小企業で働く人の割合が高いことも、給料の安さと関係がありますね。
会社の規模と障害区分別の就業割合について、下の表にまとめてみました。
障害区分 | 従業員数5~29人 | 従業員数30~99人 |
---|---|---|
身体障害者 | 37.0% | 28.9% |
知的障害者 | 45.4% | 30.0% |
精神障害者 | 70.5% | 15.9% |
発達障害者 | 58.5% | 28.3% |
参考URL:平成30年度障害者雇用実態調査
障害者雇用で一人暮らしは可能?
生活費を節約すれば、障害者雇用でも一人暮らしは何とか出来ますよ。
ただ、結婚して子供が産まれたら、障害者雇用の給料だけで生活するのは大変です。
障害者雇用の給料は、「自分の面倒は自分で見られる」くらいの金額ですね。
高収入の仕事についても続かなければ意味がない
給料の高い仕事についても、居づらくなって転職を繰り返せば、いつか生活が立ち行かなくなります。
今度こそ辞めずに仕事を続けるには、障害に理解のある障害者雇用の方が安心です。
ただ、障害者雇用の求人は、一般枠より給料が安い仕事が多いのがネックですよね。
安定した給料の貰える仕事に就くには?
障害者雇用の給料で生活するには、ある程度の収入と仕事の安定が欠かせません。
生活できる給料を手にするには、次の条件の障害者雇用を狙いましょう。
- 大企業の障害者雇用を狙う
- 障害者雇用の正社員で安定して働く
大企業の障害者雇用を狙う
障害者雇用でも待遇が良い求人は、やはり大企業が目立ちます。
大企業の障害者雇用で働くメリットは、次の3つが考えられますね。
- 障害に関係なく働きやすい
- 大企業の方が給料高め
- 障害に応じた仕事が出来る
障害に関係なく働きやすい
有給休暇や産休の取得など、福利厚生が整っている会社は、障害者雇用の人にとっても働きやすい会社。
資金力が乏しい中小企業の中には、ブラックな働き方をせざる得ない会社もあります。
逆に、従業員が辞めない会社は、資金力のある大企業に多くみられますね。
障害者雇用も大企業の方が給料高め
男性の一般枠を対象とした参考例ですが
↓「生涯賃金は、中小企業で働く大卒より大企業で働く高卒のほうが高い」というデータがあります。
大学の学費が高騰を続ける2つの理由/PRESIDENT ONLINE
大企業と中小企業の生産性は、2倍の開きがあると言われます。
生産性の違いが、給料の額に現れているんですよね。
障害に応じた仕事が出来る
さらに 大企業は、多くの人が仕事を分担する仕組みが整っています。
障害者雇用に応用できる大企業のノウハウとは
- 作業分解の方法
- 仕事のマニュアル化
などがありますね。
例えば、作業分解の方法は、障害に応じた「仕事の切り出し」にも活かせます。
マニュアル化された仕事は、手順を理解しやすいので、障害があっても仕事が出来るようになるんです。
障害者雇用の正社員で安定して働く
ハローワークの障害者雇用で、正社員の募集は
全求人の20%に満たない狭き門。
さらに、無料で出せるハローワークの求人は、資金力のない中小企業が少なくありません。
一方、転職エージェントを利用するのはお金がかかるので、求人の多くは大企業。
大企業の正社員を狙うなら、転職エージェントを活用するのがおススメです。
障害者雇用の求人でも、ハローワークにはない強みがありますよ。
転職エージェントの強み
- 大企業の求人が多い
- 障害者雇用でも専門職の募集がある
- 自分に合う仕事が見つかる
- 正社員に登用された人の実績が分かる
自分に合う仕事が見つかる
転職エージェントに求人を出す会社は、多額の利用料を払っているので、採用のミスマッチは許されません。
ですから、転職エージェントの担当者は、応募する人と会社のマッチングには気を使います。
一口に精神障害と言っても、得意なことは人それぞれ。
たとえ障害者雇用でも、自分に合わない会社では定着できないのが精神・発達障害者ですよね。
そこで、専属の担当者がついて、その人の障害特性や希望条件を丁寧にヒアリングします。
障害者雇用は「正社員登用実績」に注目!
フルタイム勤務でも、契約社員が多い障害者雇用。
障害者雇用の正社員は、初めは契約社員で入社して、仕事に慣れた後で正社員に登用された人が少なくありません。
求人票に「正社員登用あり」と書かれていても、実際に正社員になれた人がいるかどうかは、会社によって違います。
障害者雇用の中には、実際に正社員に登用された人がほとんどいないケースもありますよ。
転職エージェントでは、「正社員登用あり」の求人から、実際にどのくらいの人が正社員になれたか分かるので安心です。
おすすめの転職エージェントは?
おすすめの転職エージェントは業界最大手の下記2つです。
新卒で言えば、上記2つはマイナビとリクナビみたいな存在ですね。
登録も完全無料で、それぞれ5分あれば登録が終わります。
その後、面談などをして自分にあった求人を紹介してもらう流れです。
転職エージェントに複数登録している方のほうが転職に成功するというデータもあるので、障害者枠で安定した企業に就職・転職したい方は両方ともさくっと登録するのがおすすめです。
⇒【全て利用経験済】障害者の転職エージェントのおすすめ・評判を徹底解説
他に障害者の給料を上げる方法は?
なかなか給料が上がらないこともある障害者雇用。
障害がある人が収入を得る方法は、障害者雇用だけではありません。
- 障害年金をもらう
- 副業をする
障害者年金を検討する
精神・発達障害の人にとって、仕事と同じくらい大切なのは、支援を活用すること。
そこで、障害者雇用とともに活用したいのが「障害年金」。
医師の診断書があれば、障害者雇用で働きながら障害年金を受け取れるケースもありますよ。
障害者雇用で働きながら年金をもらうには
障害年金をもらうには、いくつか条件を満たさなくてはいけません。
「障害年金を受けられるかどうか」など、詳しいことが知りたい人は、最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターに相談してみましょう。
障害年金について知りたい人は、日本年金機構の公式HPにも詳しい情報があります。
気になることがあれば、下のURLから調べてみて下さい。
副業をする
障害者手帳があっても、障害年金が下りない人もいます。
そんな人が収入を増やす方法の一つに、副業がありますね。
フリマアプリやフードデリバリーなど、色々な稼ぎ方がある副業。
仕事中のケガや事故にあっても労災が下りないなど、何かあった時の補償がないこともあります。
障害者雇用で働きながら副業するなら、Web上で仕事をする「クラウドソーシング」や「アフィリエイト」などがおススメ。
ただ、副業で収入を得られるようになるには、時間や手間もかかります。
本業に支障が出るほど忙しかったり、ストレスを溜めるような働き方は危険です。
職場以外の世界を持つことで、視野が広がったり、経験を仕事に活かせたりする副業が理想ですね。
まとめ
ある程度、安定した生活を手に入れるためには、
- 自分の障害を理解してくれる企業
- 正社員になれる、あるいは正社員になれる求人
を探して安定的に働く必要があります。
そういった企業は、いまのところ大企業に多いです。
まずは自分にあった求人がないかさくっと転職エージェントに登録してみるのがおすすめです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。