- 精神障害になってしまった…。精神障害の人に一般的に向いている仕事はどんなものがなんだろう?
本記事では、こんな悩みを解決します。
・各々の精神障害に関する一般的な特徴
・精神障害の方に向いている職場環境・職種
・精神障害の方に向いていない職場環境・職種
ADHD・高機能自閉症を抱える50歳の主婦です。現在は、障害枠の事務職にて約5年間、継続して働けています。
発達障害の子供もおり、自身の障害や子育て経験をもとに、同じく障害を持つ人に役立つ記事をかければと思っています。
仕事が続かないのは、精神障害の人が劣っているからではありません。
精神障害の人が仕事を長続きさせるには、「向いてる仕事」と「職場の理解」が大切です。
この記事では、精神障害の人に向いてる仕事や安定して働ける職場について解説しています。
本記事は、あくまで一般的な精神障害の方の傾向をもとに、作成しております。
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体調が安定していることが最低条件
精神障害に限らず、働く上で基礎になるのが体調の安定。
立派な経歴や資格があっても、健康でなければ活かされません。
体調を崩しがちで仕事に支障がある人は、まず精神科を受診して下さい。
誰でもかかる可能性がある精神疾患は、決して特殊な病気ではありません。
「精神科」の受診に抵抗感があっても、不調を放置するのは危険。
受診が遅れて症状が悪化すれば、仕事ができなくなる可能性があります。
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主な精神障害の特徴
発達障害のような生まれつきの障害もありますが、誰でもなる可能性があるものも多い精神障害。
今は健康だと思っていても、何かのきっかけで精神障害になることは特殊なことではありません。
- うつ病(気分障害)
- 総合失調症
- パニック障害・不安障害
- 強迫性障害
- てんかん
- 高次脳機能障害
- 発達障害
精神障害には多くの種類があり、人それぞれ症状や特性が違います。
うつ病(気分障害)
気分の波による落ち込みが、集中力・判断力の低下や、体の不調に現れます。
- うつ状態のみが現れるうつ病
- 落ち込み(うつ)とハイテンション(躁)を繰り返す双極性障害(躁うつ病)
の2種類があります。
「一生の中で発症する割合は、7・8人に1人」というデータもあるうつ病。
うつ病は、決して特殊な障害ではありません。
総合失調症
100人のうち1人弱の確率で見られ、誰でもかかる可能性がある精神障害。
自分の思いや考えがまとまらなくなり、仕事や人間関係に支障をきたします。
統合失調症の主な症状は
- 悪口や嫌がらせなどの被害妄想
- 意欲や集中力の低下
- 考えがまとまらない
など。
精神疾患の影響で現れる症状と、健康な時にできた事ができなくなる症状があります。
パニック障害・不安障害
動悸やめまい、息苦しさ、手足の震えなどの発作が突発的に起こる精神障害。
これらの発作は、倒れるほど強い症状が多く、自分では止められません。
精神障害による発作に振り回されて、仕事や生活に支障が出てしまいます。
強迫性障害
特定のことが頭から離れず、繰り返さずにはいられない精神障害。
自分でも必要がないと分かっていながら、繰り返す行動を止められません。
強迫性障害のおもな特徴は
- 手洗いなど、潔癖へのこだわり
- 周囲に対する強い不安感
- 確認作業を繰り返す
- 物の配置などが変わると不安になる
- 決まったルーティンにこだわる
など、繰り返す行動の原因は、強い「不安」や「こだわり」。
周りを巻き込むことが多く、人間関係や仕事に影を落とす精神障害です。
てんかん
けいれんや意識を失うなど、突然の発作が起こる精神障害。
中には、意識はあるが「光がチカチカ見える」など、認知が変化する発作も見られます。
ただ、きちんと治療を受ければ、仕事を続けることも可能です。
高次脳機能障害
交通事故や脳梗塞などの後遺症による精神障害。
たとえ健常者に生まれても、精神障害に無縁の人生を送れるとは限りません。
- 新しいことを覚えられない
- 直前のことを忘れる
- 集中力が続かない
- ミスが増える
- 計画や先の見通しが立てられない
- 段取りが分からない
- 感情をコントロールできない
- 言葉が出なくなる
などの症状で、日常生活や仕事に支障をきたします。
ただ、色々な支援機関を活用すれば、仕事復帰の道を探れますよ。
発達障害
生まれつき脳の機能に偏りが原因の精神障害。
発達障害の中でも代表的なものは
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
- 自閉症スペクトラム(ASD)
- 学習障害(LD)
などがあり、それぞれの違いと特性は次の通りです。
注意欠陥多動性障害(ADHD)
- 落ち着きがない・待つことが苦手な多動
- 集中が続かない・ミスが多い不注意
の2つが主な特徴の発達障害。
多動と不注意のうち、どちらが目立つかは個人差があります。
段取りや片付けが苦手な人が多いことでも知られています。
自閉症スペクトラム(ASD)
相手の気持ちや暗黙の了解、先の見通しを理解するのが苦手。
決まったルーティンや特定の物事にこだわりがあります。
これらの特徴は、抽象的な物事の想像力の弱さが原因です。
ASDの中には、光や音に敏感な「感覚過敏」を持つ人も少なくありません。
学習障害(LD)
読み書きや計算など、特定の学習項目が苦手な発達障害。
会話は普通に出来る人が多いので、パッと見障害者には見えません。
精神障害に向いている職場環境
精神障害に向いている職場は、偏見を持たず障害を理解してくれる職場。
- 困りごとを相談しやすい
- 残業や不規則勤務が少ない
- 休みが取りやすい
- マイペースで仕事ができる
精神障害の人が困りごとを一人で抱え込まず、誰かに相談できる職場が向いています。
また、仕事を長続きさせるには、体調の変化や通院に合わせて休みが取りやすいことも外せません。
困りごとを相談しやすい
コミュニケーションの悩みが多い、精神障害に向いているのは、風通しの良い職場。
精神障害のある・なしを問わず、従業員が困りごとを相談できる職場が理想です。
さらに、外部のサポートを利用すれば、精神障害の人が安心して働けます。
残業や不規則勤務が少ない
精神障害の人が仕事を続ける上で、ネックになるのが体調の変化。
そのためには、寝る時間と起きる時間を一定に保つ必要があります。
精神障害の人に向いているのは、決まった勤務時間で残業の少ない職場。
時間が不規則な職場や残業が多い仕事は、生活のリズムが狂いがちです。
精神障害の人が安定して働くには、時間が不規則な仕事は向いていません。
休みが取りやすい
精神障害を悪化させないためには、計画的に休むことも仕事の一つ。
体調の変化や通院などで、休みが取りやすい職場が向いています。
精神障害の人が仕事を続けるには、無理せず早めに休むことが何よりです。
無理な働き方を続けて体を壊せば、再び仕事に就くのに長い時間がかります。
マイペースで仕事ができる
精神障害に向いているのは、任された仕事を一人で進められる職場。
特性に合わせて、仕事に集中できる環境を整えることも外せません。
自分のペースで仕事ができる職場が、精神障害の人には向いています。
一人で出来る在宅ワークも、精神障害に向いている働き方の一つです。
精神障害に向いている職種
精神障害に向いているのは一人でできる仕事。
変化が少なく、あまり人と関わらない仕事が向いています。
- 事務職
- 軽作業
- エンジニア
- クリエイティブ職
など、マニュアル化された仕事や狭い範囲を掘り下げる仕事が向いています。
事務職
障害者雇用の求人で多いのが事務の仕事です。
仕事の幅が広い事務は、精神障害に向いている仕事と不向きな仕事があります。
事務の中でも精神障害に向いているのは、決まったルーティンの仕事。
事務の中で向いてる仕事
- データ入力
- 給与計算
- 社会保険の手続き
- 備品・郵便物の管理
- 帳簿作成などの経理補助
など、手順やスケジュールが決まった仕事が向いています。
精神障害に向かない事務
精神障害には不向きな仕事は、臨機応変さを求められる仕事。
- 営業事務
- 電話応対
- 受発注業務
- 顧客対応
などは、柔軟な対応を求めるので、精神障害には、あまり向いていません。
軽作業
障害者枠の求人が多い軽作業も、精神障害向きの仕事があります。
- コピーやスキャニング作業
- 郵便物などの仕分け作業
- ピッキング
- 包装・梱包
- 清掃
など、決まったパターンやマニュアル化された仕事が向いています。
逆に、軽作業でも臨機応変さが求められる仕事は、精神障害の人には不向きです。
エンジニア
精神障害の人に向いている仕事と言われるエンジニア。
ただ、一口にエンジニアと言っても様々な仕事があります。
特に精神障害に向いているのは、集中力を発揮できる仕事です。
エンジニアの仕事の種類と精神障害の向き不向きを解説します。
プログラマー
プログラミング言語を操りソフトウェアを開発する仕事。
この仕事で特に求められるのは、細かい作業や注意力です。
集中力が高い精神障害の人は、プログラマーの仕事に向いています。
SE(システムエンジニア)
プログラマーとして経験を積んで、SEになる人は多いはずです。
仕事が多岐にわたるSEは、精神障害に向いてる仕事ばかりとは限りません。
- お客様対応
- メンバーの管理
など、交渉力や調整力が問われる仕事もあります。
SEの仕事をこなすには、精神障害の弱点をカバーする対策が必要です。
ユーザー対応の仕事
ユーザー対応がメインの仕事は、精神障害には向いていません。
- カスタマーエンジニア
- ユーザーサポート
などは、ユーザーから想定外の対応を求められることも多い仕事。
お客様の要望に応じて、柔軟な対応ができる人に向いています。
変化が多い仕事なので、荷が重いと感じる精神障害の人は多いはずです。
クリエイティブ職
ライターやデザイナーなどの仕事も精神障害には向いています。
その中でも精神障害に向いてる仕事の傾向は、エンジニアと似ています。
精神障害に向いているのは、集中力や探求心を活かせる仕事です。
精神障害の人がクリエイティブ職を目指すには
障害者雇用でクリエイティブ系の仕事はレア求人。
いまだに身体障害の採用を優先する会社もあります。
さらに、これらの仕事に就くには実績がモノを言います。
未経験からこの仕事を目指すなら、まずは副業などで実績を積みましょう。
精神障害に向いていない職場環境
精神障害の人が仕事を続けるには、障害を理解してもらうことが大切。
ただ、目に見えない精神障害を理解してもらうには、職場の余裕が必要です。
- 障害がなくても辞める人が多い
- 精神障害に理解がない職場
従業員が定着できない職場では、精神障害に配慮する余裕は無いはずです。
一般枠でも仕事が続かない
一般枠でも辞める人が多い職場で、精神障害の人が仕事を続けるのは困難です。
- 長時間労働
- 休みが取りづらい
- パワハラが野放し
など、ストレスフルで残業が多い仕事は、精神障害には向いていません。
ブラックな職場で仕事を続ければ、体調を崩すリスクもあります。
ただ、そんな職場で仕事を続けるのは、精神障害がない人でも辛いはず。
精神障害に理解がない職場
精神障害の人が仕事でネックになるのが
- コミュニケーションの問題
- 体調の変化
精神障害による困りごとを、職場の人に理解してもらうことが欠かせません。
精神障害を理解してもらうには、職場の人と根気よく話し合うことが大切。
逆に、精神障害に向いていないのは、話し合いや相談がしづらい風通しの悪い会社です。
精神障害に向いていない職種
精神障害に向いていない職種は、臨機応変さやマルチタスクが必要な仕事。
- サービス業
- コールセンター
- 介護職
- 営業職
- 小中学校の教師
これらの仕事は、同時に複数の役割をこなし、状況に合わせた素早い対応が求められます。
一人何役もこなす仕事や、マニュアル化が難しい仕事は、精神障害には向いていません。
サービス業
素早い対応や臨機応変さを求められるサービス業の仕事。
- ホテルのフロント
- 飲食店のホールスタッフ
- 料理人
などは、マルチタスクが苦手な精神障害には向いていません。
さらに、「技は師匠を見て盗め」という料理人の世界も、仕事を覚えるのに苦労する人がいます。
コールセンター
コールセンターの仕事は、臨機応変さが必要でマニュアル化が難しい仕事。
クレーム対応を求められることも、精神障害を悪化させる原因になります。
心理的な負担がある仕事や臨機応変さを求められる仕事は、精神障害には向いていません。
介護職
ストレスフルで、うつ病になる人が多い介護の仕事。
状況に応じて臨機応変な対応を求められるので、精神障害には向いていません。
さらに、不規則勤務や長時間労働が多いので、生活リズムも崩れがち。
心身共にハードな介護職は、精神障害を悪化させるリスクが高い仕事です。
営業職
ノルマに追われる営業の仕事は、ストレスフルで時間が不規則になりがち。
プレッシャーが大きい営業職も、精神疾患になりやすい仕事の一つです。
マルチタスクや柔軟な対応が求められるので、精神障害の人には向いていません。
ストレスフルで生活リズムが崩れやすいので、二次障害のリスクもあります。
小中学校の教師
多くの生徒の話を聞いたり、状況に応じた適切な対応が求められる教師の仕事。
マルチタスクや臨機応変さが必要なので、精神障害の人には向いていません。
さらに保護者対応も必要なので、精神的にも負担が大きい仕事です。
参考URL:厚生労働省
安定して働きたいならクローズよりオープン就労がおすすめ
精神障害の人が仕事を長続きさせるには、職場の理解が欠かせません。
職場の理解を求めるなら、精神障害をオープンにする障害者雇用がおススメ。
精神障害で仕事が長続きする人が多いのは、一般枠より障害者雇用です。
給料が高くても、精神障害が悪化して体調を崩したら意味がありません。
症状をこじらせれば、再び仕事に就くのに長い年月がかかります。
オープン就労・クローズ就労には、それぞれメリットデメリットがあります。
迷っている人は、こちらの記事を読んで参考にし下さい。
⇒【実体験】精神障害・発達障害はクローズとオープンどっちがいい?両方経験した私が徹底解説
オープン就労で自分にあった仕事を見つけるなら転職エージェントがおすすめ
向いてる仕事と理解のある職場に出会えば、精神障害を持つ人も仕事を続けられます。
一口に精神障害と言っても、向いてる仕事は人それぞれ。
さらに、見えづらい精神障害は、なかなか理解されない場合もあります。
自分に向いてる仕事や精神障害に理解のある職場を探すのは、一人では難しいはずです。
精神障害の人が長続きする仕事を探すなら、転職エージェントを活用しましょう。
転職エージェントがおすすめな理由
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- 大企業の求人が多い
- 自分に向いてる仕事を紹介してもらえる
などの強みがあります。
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仕事が長続きする人が多い大企業
精神障害と上手く付き合いながら仕事を続けるには、大企業の障害者枠がおススメ。
早くから障害者を受け入れている大企業は、障害があっても仕事ができる仕組みがあります。
多くの人が働きやすい企業が多い大企業は、精神障害者にとっても働きやすい環境です。
障害者雇用の実態調査によると
- 最も定着率が高いのは、従業員1,000人以上の大企業
- 定着率が最も低いのは、従業員50人以下の中小企業
規模が大きい会社ほど定着率が高くなる傾向が見られます。
参考:障害者の就業状況等に関する調査研究 2017年 障害者職業総合センター
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転職エージェントについて、もっと知りたい方はこちらをどうぞ。
⇒【全て利用経験済】障害者の転職エージェントのおすすめ・評判を徹底解説
まとめ
精神障害の人が仕事を長続きさせるには、職場の理解が欠かせません。
さらに、向いてる仕事に出会えば、精神障害は強みにもなりえます。
向いてる仕事が分からない人は、苦手なこと・出来ることを書き出してみましょう。
必要な配慮や向いてる仕事が分かれば、精神障害があっても安定して働けるようになりますよ。