「特例子会社の給料って一般企業の障害者枠より低そう…」
働きやすいとはよく聞くけれど、生活ができる程度にはお金がもらえないときついですよね。
結論から言うと、特例子会社でも会社選びと入社後の頑張り次第では
生活ができる程度には全然もらえます。
本記事では、実体験も交えながら、
- 特例子会社の給料
- 特例子会社でできるだけ給料の良い会社を選ぶにはどうすればいいか
特例子会社の給料に関するあれこれを徹底解説いたします。
実際に特例子会社で働いたことのある人の情報って少ないので、働こうか迷っている方必見です!
特例子会社とは?
一般の民間企業は、「全体として2.2%の障害者を雇わなければいけどない」と法律で定められています。
雇用率を達成していない企業には罰金が発生します。
また大企業は、未達成となると企業の社会的責任(CSR)を果たしていないと判断され、イメージダウンにつながってしまいますよね。
ただ、なかなか2.2%を雇うのって難しい…。
というわけで生まれたのが特例子会社制度。
親会社は障害者の雇用促進を目的として、特例子会社を設立します。
この特例子会社で働く障害者の人数を親会社の雇用率に加えてもいいというわけですね。
特例子会社の給料は低い?
特例子会社の年収平均
2016年の野村総合研究所の調査によると、特例子会社の平均年収は下記の通りです。
年収 | 割合 |
---|---|
101~150万 | 21.6% |
151~200万 | 33.5% |
201~250万 | 21.6% |
251~300万 | 10.8% |
301~350万 | 7.2% |
351~400万 | 3.0% |
401~450万 | 1.2% |
451~500万 | 1.2% |
500万以上 | 1.2% |
また特例子会社で働く年代の割合は下記の通りです。
年代 | 割合 |
---|---|
21~25歳 | 10.2% |
26~30歳 | 19.8% |
35~40歳 | 32.9% |
41~45歳 | 19.8% |
46~50歳 | 13.2% |
51~55歳 | 2.4% |
年収で見ると、151~200万が3割と一番多いですね。
2017年度の一般の平均年収が432万と言われているので、それと比べるとかなり低いですね。
一般の障害者枠と比べるとどっちが安い?
特例子会社を除いた一般企業の障害者枠での平均年収データはないので正確な数値はわかりませんが、私が転職活動をしたイメージでは、事務職等職種が同じであればそこまで給料に大差はありません。
「特例子会社の給料が低い理由」の章で詳しく述べますが、特例子会社の求人の多くは事務職です。
ここではatGPに実際に掲載されていた求人を例に紹介いたします。
【特例子会社A】
職種:一般事務
勤務地:東京都
雇用形態:正社員/契約社員
給与:月収:180,000円~256,000円(年収:234万円~332万円)
昇給:有(年1回)
賞与:有(年1回)
【一般の障害者枠】
職種:一般事務
勤務地:東京都
雇用形態:正社員
給与:月収: 169,060円 ~ 220,000円 (年収: 262万円 ~ 341万円 )
昇給:有(年1回)
賞与:有(年2回)
同じ職種であればあまり大差はありませんね。
ただし、特例子会社では事務職の求人がメインなのに対して、一般の障害者枠では事務職以外の専門スキルを活かした求人も多いので、多少きつくても高い給料を狙うなら一般の障害者枠に軍配が上がるという感じでしょうか。
特例子会社に昇給・賞与や昇進はあるの?
きちんと昇給・賞与も出るかどうかは会社によって大きく異なります。
このあたりは普通の就職と同じで昇給・賞与の額を情報としてしっかりと出しているところもあるので、求人情報等のリサーチが必要ですね。
昇進に関してですが、障害者中心の特例子会社の場合、部長職やリーダーの重役を障害者に任せる会社もあります。
競争の枠が障害者同士なので、頑張れば部長職等もありうるわけです。
これが一般での障害者枠だと、競争相手が健常者になってしまうので、部長職等の重役へのポストはかなり狭き門ですね。
特例子会社で少しでも給料の高い会社を狙うなら
特例子会社はやっぱり障害者に対して、様々な配慮をしてくれるので働きやすいのは間違いないです。
ここでは、特例子会社で少しでも給料が高い会社選びを解説します。
ただし最初から高い給料を狙うのは、事務職がメインの特例子会社では無理です。
安定して働いて勤続年数を増やしながら、給料を増やしていくのが現実的な選択ですね。
安定して働けるかどうか
正直、これが一番重要です。
特例子会社なのに障害に対する配慮がなかったり、ドライな人間関係だったりする職場だと安定して働けませんよね。
実際に私自身が特例子会社の会社見学や面接を数社受けて感じたのが、本当に会社によって職場の雰囲気が異なるということ。
働きやすい職場づくりに励んでいる特例子会社もあれば、本当にここは特例子会社なの?…と思っちゃう企業もありました。
まずは安定して働けるかどうか、これが給料を増やすうえで一番大事なポイントです。
正社員募集をしているところ
安定しつつ給料もある程度貰うにはやっぱり正社員の方がいいです。
2016年の野村総合研究所の「賞与制度の有無」に関する調査では、正社員のみに賞与があるという会社は、23.1%と4社に1社は正社員のみに支給しています。
実際に、私の会社では昇進・昇格・ボーナス等は、正社員にしか適用されません。
正社員にならないと、生活していくのはきついレベルですね。
なので、正社員募集をしているかどうか、そしてどれくらいで正社員になれるのかは徹底してリサーチする必要があります。
頑張り次第では、部長やリーダー等に障害者でもなれるか
障害者枠で働く一つの不安要素として、
「頑張っても障害者は昇格はできないんじゃないか…」
というのがありますよね。
ただ、上記でも述べた通り、特例子会社の場合は重要なポストを障害者に一任している会社もあります。
特例子会社でも部長職となれば、給料も高く安定して働けますよね。
頑張り次第では、重役になれる可能性があるかないかはかなり大きな違いです。
私の場合
特例子会社に勤めていた当時の私の年収は下記の通り。
性別:男
職種:事務
年収:300万程度
めちゃくちゃ年収が高いわけではありませんが、それなりに安定した生活はできていました。
私の会社は
- 正社員になれるかどうか
- 重要なポストは障害者でもなれるのか
を満たしていたので、継続年数を増やして頑張ればそれなりに給料は上がっていきます。
この2つのポイントを押さえて、特例子会社を探してみてください。
特例子会社の給料が低い理由
特例子会社の職種は事務職がメインなので、給料が低めに設定されているのが一番大きな理由ですが、もう少し給料が低い理由を掘り下げてみたいと思います。
利益を出す仕事が少ない
特例子会社で行う仕事の多くは、親会社から切り出された業務の一部です。
悪く言うとこの程度なら可能だろう…と切り出されたルーティン業務が多いですね。
結果的に職種はルーティン作業の多い事務職が大半を占め、給与が低く設定されているんですね。
そもそも特例子会社は利益を出す必要がないことが多い
利益を上げて頑張っている会社もありますが、特例子会社の大半は利益を上げることを一番の目的とはしていません。
親会社の障害者雇用率を上げるのが特例子会社の大きな目的なんですね。
2016年の野村総合研究所の調査によると、特例子会社が親会社に成果報告を行う際の工夫内容は下記の通りになっています。
- 障害者雇用の上昇:80.5%(136社)
- CSRへの貢献:61.5%(104社)
- 障害者を雇用しなかった場合に支払う納付金の削減:41.4%(70社)
- 売上・利益への貢献:24.3%(約41社)
上記の通り、特例子会社が行う親会社への報告内容の重要度としては、売上・利益はかなり低いですね。
利益を上げる団体ではないので、給与が低いのもしょうがないですね…。
特例子会社の給与の基準は最低賃金を考慮して設定されていることが多い
こちらも2016年の野村総合研究所の調査結果ですが、給与制度の設定方法では、
- 最低賃金を考慮して設定:85.7%
- 働く障害者が持つ能力に応じて設定:53%
となっています。
能力によって給与を上げる会社ももちろんありますが、ベースは最低賃金をもとに計算しているので、給与が低いわけですね。
特例子会社で働くメリット
安定して働ける環境が整っている
特例子会社で働くメンバーの大変が障害者なので、働きやすいように様々な配慮が施されています。
私の会社だと、
- 身体障害者の方には、バリアフリー化したオフィスの提供
- 精神障害者の方には、すぐに相談できる体制や労働時間の短縮
- 知的障害者の方には、単純な軽作業の切り出し
など各々の障害に合わせて配慮してくれます。
会社としても安定して障害者に働いてもらう必要があるので、ここの部分はやっぱりしっかりしていますね。
同じ障害を持った人と一緒に働ける安心感がある
特例子会社は上述した通り、障害者の方がメインで働いています。
自分と同じように障害を抱えた人人と一緒に働くことは、私にとっては安心感がありました。
一般の障害者枠だと、1部署に1人とかが基本で、周りは健常者です。
健常者と比較してしまってプレッシャーを感じて辞める人も多いので、そういう人には特例子会社はおすすめですね。
障害者がメインなので、頑張れば重役に昇進もありうる
上記でも述べましたが障害者中心の特例子会社の場合、部長職やリーダーの一部を障害者に任せる会社もあります。
競争の枠が障害者同士なので、頑張れば部長職等もありうるわけなんですね。
これが一般での障害者枠だと、競争の枠が健常者になってしまうので、部長職等の重役へのポストはかなり狭き門だといえます。
特例子会社で働くデメリット
給料が比較的安い
特例子会社は
- 利益を上げる会社ではないことが多い
- 親会社からの切り出し業務のため、事務業務が多い
- 最低賃金を参考に給料設定をしている
というところから給料が安く設定されています。
ただし、これは一般企業の障害者枠でも事務職系だと同程度の給料なので、職種次第ではありますね。
障害を持った人に囲まれて仕事をするので、人によってはストレスがたまる
特例子会社では、様々な障害を持った方と一緒に働きます。
なので、普通の会社だったら、起こらないようなトラブルがおこることもあります。
上記のメリットと表裏一体ですが、人によってはストレスが溜まってしまうかもしれません。
安定して働きたい方には特例子会社はおすすめ
特例子会社は、最初の給料はやっぱり低いです。なので、
- まずは安定して働くことが目標
- 勤続年数を増やして給料を増やしていく
という方にはおすすめです。
安定して働くことがメインだったので、私にとっては特例子会社はありな選択でした。
特例子会社への転職を検討しているなら、障害者専用の転職エージェントを使うのが一番おすすめ。
あなたにマッチした特例子会社を転職エージェントが代わりに探してきてくれるので、あなたはそれに応募するだけです。
⇒【全て利用経験済】障害者の転職エージェントのおすすめ・評判を徹底解説
それでは最後まで読んで下さり、ありがとうございました。