本記事を読まれている方は、
「特例子会社の面接ってどこを見られているんだろう」
「どんな質問を聞かれるんだろう」
と不安に思っているのではないでしょうか。
本記事では実際に特例子会社に働いたことのある私が
- 特例子会社の面接を通過するポイント
- 特例子会社でよく聞かれる質問
を実体験も踏まえて解説していきます。
いくつか特例子会社を面接し、そのうち2社内定・1社は最終面接まで行きました。
特例子会社に勤めていた経験もあるので、ある程度信頼性は高いはずです。
特例子会社の面接を通過するためのポイント
専門職に応募していない限りは高い能力は重要視されていない
特例子会社の業務は、
- 事務職
- 清掃業
が多いです。
IT関係や経理など専門職に応募する場合は別ですが、そうじゃない限り学歴や高い能力はそこまで重要視されません。
事務職として働く場合でもExcelやWordなどの基本的なPCスキルは必要ですが、これも短期間で習得可能なレベルのものです。
特例子会社では学歴が高い人やハイスペックな人材よりも
協調性があり、安定して働いてくれるか
を一番重視しています。
特例子会社の設立目的の多くは利益を上げるためではなく、障害者の雇用促進を行い法定雇用率を達成するためだからですね。
なので「自分は他の応募者と比べて能力が低いんじゃないんか…」と悩む必要はなく、下記に説明する部分を意識して面接に臨んでみてくださいね。
背伸びして答えすぎない
特例子会社の面接に突破することも大事ですが、最も大事なのは受かった後に定着して働くことです。
なので、面接時に自分の本来の能力以上のことを背伸びして答えるのは危険です。
例えば、
- 障害配慮の部分で「これを言ったら採用されないかも…」と思って伝えない
- 業務内容ができるかどうか聞かれた時に不安なのにとりあえず「できます!」と答える
といざ採用されて入社してから困りますよね。
もちろん面接用に多少は良いように見せるのは大切です。
ただ、クローズの面接みたいに自身の障害を隠す必要はありません。
むしろ自分のできること・できないことをはっきり述べられる人の方が面接官は障害をしっかり理解していると高評価してくれる場合が多いです。
せっかくオープンで面接しているのですから、採用後に安定して働けるように背伸びして答えすぎないようにしましょう。
発言に一貫性を持つ
障害者枠での面接は障害をオープンにして働く前提なので、障害に関して「答えられる範囲で」と前置きがありながらも必ず聞かれます。
障害に関する質問はしっかりと自分の頭の中でどう答えるか整理しておかないと、受け答えに矛盾が出てしまいます。
例えば、障害を負った時系列の説明と履歴書の経歴に矛盾がある場合、面接官は「この人は自分の発言に責任をもって発言できているのだろうか」と不安に思ってしまいます。
事前に予想される質問にたいして、あらかじめ回答を用意し、矛盾がないか必ず確認しておきましょう。
自身の障害についてしっかり理解する
一般企業の障害者枠でもそうですが、自身の障害をしっかり理解しているかどうかは面接でかなり重要視される点です。
うつ病もちの私の場合、下記の質問をよく受けました。
- 発症したきっかけ
- 症状(過去~現在)
- 障害と向き合うために心掛けていること。
- 通院・服薬
- 配慮事項
面接官は障害に関する質問をすることで、
- この人は安定して勤務できるのかどうか
- 障害配慮は実現可能か
を見ています。
自分の障害について理解していないと、面接で困るのももちろんですが入社してから困ります。
うつ病もちの私の場合だと私は下記のように自分の障害を掘り下げていきました。
- どういうときに落ち込みやすいのだろう?
- 逆にどういう時に嬉しく思うのだろう?
- どういう配慮があれば安心して働けるのだろう?
- 再発防止のために自分ができることは何だろう?
こういった作業はもちろん自分1人でもできますが、各支援機関や転職エージェントの担当者と相談しながらやると自身の障害をより客観的に見れるので効率的です。
障害とうまく付き合っていくためにも是非やっておくことをお勧めします。
安定して働けるアピールをする
面接官が一番気になるのは
安定して働いてくれるかどうか
です。
現実問題、障害者の定着率は一般の人に比べて低いです。
特に精神障害の場合は1年後の定着率は49.3%というデータもあり、約半数は一年もたたずに離職しているんですね。
なので、面接官も「安定して働けるかどうか」をどうにか面接で判断しようとしています。
- 自分なりに障害とうまく付き合えているか
- 障害配慮を明確に言えるか
- 前職の退職理由は何か
- 志望動機は明確か
- 等質問する中で、定着して働いてくれるかどうかを見ています。
例えば、前職の退職理由がうつ病で辞めてしまった場合、現在は再発防止に向けて~をしていると伝えることが大事です。
とはいえ、背伸びして答えると入社後きついのであくまでも事実に基づいた回答にしましょう。
ハキハキと質問に答える
コミュニケーションがしっかりととれるかどうかも面接官が重要視しているポイントの一つです。
特例子会社は様々な障害を持っている方と一緒に働くので、コミュニケーションがある程度取れる方でないとチームにうまく溶け込んで働けないことを面接官は心配しているのです。
できる限り、顔を上げてハキハキと質問に答えられるのがいいですね。
特例子会社でよく聞かれる質問項目
ここからは具体的に私が聞かれた質問項目をあげていきます。
自分の経歴/自己紹介
〇〇〇〇と申します。◯◯大学を卒業後、株式会社◯◯に入社致しました。
そちらではプログラマーとして主にWebサイトの開発業務を行っていました。その後、○○会社に入社。
同様に現在までWebサイト制作に一貫して携わっており、御社でもその力を生かせると思いこの度応募致しました。
私が受けた特例子会社の面接でほとんど最初に聞かれた質問です。
面接官は自分の経歴を端的に述べられるかを見ています。
回答すべき内容としては、職務経歴書の職務要約をもっと短くしたくらいのイメージでいいと思います。
※障害に関しては必ず後で聞かれるので最初の自己紹介の際に、障害により退社等を述べる必要はありません。
障害について
Q.現在も症状はありますか。
Q.どういうときに症状が出やすいですか。
Q.通院と服薬について教えて下さい。
Q.再発防止のために努めていることはありますか。
Q.障害で配慮してほしいことはありますか。
(Q.障害で配慮してほしいことはありますか。)
障害の特性上、あいまいな指示だと理解できない場合があるので、具体的な指示を頂きたいです。
これは必ず聞かれますし、もっとも重要な質問です。
上記の「自身の障害についてしっかり理解する」の章でも解説いたしましたが、この質問を通して面接官は
- この人は安定して勤務できるのかどうか
- 障害配慮は実現可能か
を見ています。
なので、ここの部分は自分の中でしっかり落とし込んで回答するようにしましょう。
回答する時のポイントとしては、障害とうまく付き合うために自分なりに対処していることを伝えることです。
例えば「Q.どういうときに症状が出やすいですか。」と聞かれた時には私の場合は
「前回の会社ではクローズで入社したため、ちょっと体調が悪くても誰にも相談できずに一人で落ち込むことが多かったです。現在では何かあったら支援機関や担当医に相談してアドバイスをもらうことで過度に落ち込むのを防げるようになりました。」
と答えていました。
このように答えることで、面接官は
「この人は自身の障害と前向きに向き合っているんだな」
と好印象を与えることができます。
前職の退職理由
うつ病もちの私の場合、この質問も必ず受けました。
面接官は、この質問を通してこの人は私の会社でも同じように退職しないかどうかを聞こうとしています。
退職理由を伝える際は、それが障害とリンクしている場合は今はそれに対する対処する方法は分かっているという伝え方をすることです。
私の場合、前職はクローズで入社しており体調が少し悪いなと思っても、誰にも相談できなくなってしまって結局やめてしまいました。
ですので上記の回答例のように答えていました。
今は解決している、または解決に向けて努力していると伝えることが大事ですね。
逆に退職理由が障害ではなく、給料が安いとか仕事が嫌になって辞めた等そのまま伝えるとマイナスイメージになる場合は、「もっと成長したくて」とか前向きな理由で辞めたと伝えた方が好印象です。
志望動機
志望動機も必ず聞かれる質問の一つです。
特例子会社の場合だと、本当の志望動機って業務内容に興味があるというよりも
障害配慮してもらいながら、安定して働けたいから
という人が多いと思います。
私の場合は下記回答例のように伝えました。
私も障害配慮を受けながらも、やりがいをもって働きたいと思い、御社に応募致しました。
一般的な志望動機の伝え方は、「私が採用されたら会社にこんなメリットがありますよ!」という感じで伝えるのがベターですが、特例子会社の場合、業務内容がそこまで複雑ではないので、あまりそこを膨らませて回答することは難しいです。
上記回答で面接は通過しておりますので、専門スキルの必要な業務じゃない限りは「安定して働きたいから」というのを全面に出しても問題ないと思います。
PCスキルについて
Q.ご自身のパソコンスキルについて教えて下さい。
これは事務職だと必ず聞かれる質問です。
私が受けた会社も全て事務職だったので、必ず聞かれました。
特例子会社の事務で求められるPCスキルは高いものではなく、基本的なOfficeスキル(Word・Excel)程度。
全く使えない場合でも基礎的な教科書を買って何日か勉強すれば到達できるレベルです。
⇒障害者転職で資格を持っておくと有利?おすすめの資格を解説
また本記事を読まれている方は書類選考は通っているはずなので、書類選考が通っているということは現在のレベルのPCスキルで充分である可能性が高いです。
なので、もしPCスキルについて聞かれたら
PCを使った業務経験はありません。ただ現代では必須のスキルだと思いますので現在勉強中です。」とありのままに伝えてよいでしょう。
もちろんアピールできるものがある場合は、ガンガンアピールしちゃいましょう。
前職も事務職だったため、Word・Excel・PowerPoint等のOfficeソフトの基本操作は可能です。
休日はどんなことをしているか/趣味
Q.ご趣味はありますか。
これも何故か特例子会社でよく聞かれる質問の1つですが、あまり重要ではありません。
私はうつ病もちだったので、面接官の意図としては休日は気分転換に何か行えているか、趣味でリフレッシュできているかということを知りたいのでしょう。
私は結構インドアで休日は家で引きこもっている方が好きですが、さすがにそれをそのまま伝えると悪い印象を与えかねないので、「友人と遊んだり、読書などをして気分転換しています」と答えていました。
休日は友人と会ったり、体を動かしたりしてリフレッシュしています。
長所と短所
私の長所は責任感を持って正確に作業を進められることです。前職で行っていたデータ入力でも間違っていないか確認する作業をこまめに行うことでミスはほとんどなく作業をすることができました。
私の短所は心配性なところです。細かい部分まで気になり、人より作業時間が伸びてしまうこともありました。前職では、そういった確認時間も考慮して余裕のあるスケジューリングを組んで遅延なく業務に取り組むことを意識していました。
これも何故かよく聞かれる質問でした。
長所と短所を伝える際には4つポイントがあります。
- できるだけ企業の求める人材とマッチしそうな内容を話す
- 根拠となるエピソードを話す
- 短所はネガティブな言葉は使わない(~ができません等)
- 短所を直すために努めていることを話す
ここの部分は面接官にマイナスと判断されるような短所をあえて言う必要はありません。
その会社にあった長所と短所を言うようにしましょう。
まとめ
本記事をまとめると、下記の通り。
- 特例子会社の面接を通過するためのポイント
- 専門職に応募していない限りは高い能力は重要視されていない
- 背伸びして答えすぎない
- 発言に一貫性を持つ
- 自身の障害についてしっかり理解する
- 安定して働けるアピールをする
- ハキハキと質問に答える
- 特例子会社でよく聞かれる質問項目
- 自分の経歴/自己紹介
- 障害について
- 前職の退職理由
- 志望動機
- PCスキルについて
- 休日はどんなことをしているか/趣味
- 長所と短所
特例子会社の面接で聞かれることはそこまで難しい内容ではなく、対策をきちんとしておけば充分対応可能です。
特例子会社の面接を受ける際に、本記事が参考になれば幸いです。
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。